パチスロ体験談2

はじめは悪い事への憧れ

今や見る影もありませんが、昔のパチスロというのはアウトローにとって必須の趣味でした。
飲む(お酒)打つ(ギャンブル)買う(風俗)が悪い嗜みとして知られていた時代には、ある意味不良のファッションとしてパチスロは確立していました。

 

店内をみれば、煙草を吸いながらパンチパーマの店員がパチスロ台の鍵を回している。
打っている人々を見れば、明らかにその道の先達であろう堅気に思えない連中が必死に回しています。
完全に一般人御断りであるこの雰囲気は、逆に不良達にとってはこの上なく魅力的に映る場所だったのです。

 

その道へ引き込む仲間

そして必ず飲む打つ買うには仲間がいて、頼んでもいないのに悪い事を教えてくれる誰かが存在しました。
こういう人間関係において、ギャンブルの経験が無い人など居ないと断言してもいいくらいです。
また不良の同調圧力というのは強烈で、誘いをかけてきた人が先輩であればそれはもう実質拒否ができません。

 

そうして嫌々入ったパチンコ屋で、パチスロで勝つという蜜の味を覚えてしまうのです。
当時は負けない機種というのが少数ながら存在し、先導者も何の悪気もなくパチスロで勝たせるという事を覚えさせます。
いわゆる目押し(パチスロにおいて狙った図柄を正確に止めること)ができれば誰にでも勝てる仕様だったので、小銭を稼ぎたい人が殺到しました。

 

日当二万円

上下に幅はありますが、目押しだけで確実に勝てるパチスロでいうと平均日当は二万円くらいです。
しかし当時大学生であった私にとって二万円は大金で、打てば打つほど勝てるパチスロの魅力に惹かれていきました。

 

パチスロ以外の時間が無駄に思えて、朝から晩まで延々とパチスロを打つ日々が始まります。
実際にお金は増え続け、飲む頻度も買う頻度も上がっていきました。
大学など全く通う気にもならず、パチスロで勝っては祝杯を上げ、同じ生活をしている仲間とやりたい放題の日々が続きました。

 

またパチスロ自体のギャンブル性も上がっていき、1日で10万円〜50万円勝つ可能性があるパチスロが次々に登場しました。
そして勝ち方のセオリーも同時に存在した為に、パチスロ人気は絶頂を迎えました。

 

大学も当然退学し、収入が途切れることが無いので大きな買い物を考え始めます。
実際パチスロに全てを捧げている人の一部にはマンションを買った人まで存在し、パチスロは勝てるものから生活の糧としての存在に変わりました。

 

私はマンションまでは無理でしたが、それでも500万円以上の貯金に成功していました。
しかも毎日の荒い金遣いは改善どころか、むしろますます悪化しているのにそれだけ残るのです。
パチスロ打ちにとって天国のような時代で、既に10年近いパチスロ生活を続けていた私にとって、最早パチスロ以外で生きていく選択肢は存在しませんでした。

 

地獄の始まり

この頃はパチスロ番組やパチスロ雑誌全盛期で、テレビは華やかな大勝シーンを放送し雑誌は勝ち方を解説し、パチスロに興味のない人に対してもパチスロを宣伝し始めた時期でした。
当時の異常な状況を一言で表す言葉として、店にいる一部の人は「パチスロは食える」という表現を使いました。
文字通りパチスロだけで生活している人々の事であり、不労所得としての夢をパチスロ遊戯者に与え続けました。

 

当然ですが警察はこれに危機感を感じ、この流れを止めなければならないとパチスロ規制に乗り出しました。
この当時のパチスロは4号機と呼ばれていたのですが、このとんでもないギャンブル性を抑えた5号機という新規格を定め、現在パチンコ店にある4号機の撤去が決まりました。
この4号機の時代は1992年〜2005年の13年間で、この間に私のようなパチスロ生活者を多数生み出しました。
実際には撤去猶予期間というものがあったので、4号機の現役が終わったのは2007年9月、これがそのままパチスロで食える時代の終焉でした。

 

勝てなくなるパチスロ

新しく出た5号機と4号機の違いは、簡単に言えば獲得金額の減少です。
10万円20万円の勝ちが当たり前だった4号機に対し、5号機初期はどう頑張っても4万円程度が限界でした。
普通の感覚で言えばこれでも十分なのですが、4号機とは違い目押しができれば、知識があれば必ず勝てる仕様ではなく、あくまで店が出る設定を使えば勝てるというのが5号機でした。

 

勝ち金が大幅に減っただけではなく、当たり台が取れなければ勝つ事ができない。
パチスロ生活者の中だけで競争が激化し、ギャンブル性に取りつかれていた一般人の多くはここでパチスロから足を洗いました。
これは誇張ではなく、4号機から比べると5号機に残ったパチスロユーザーは3割も居ませんでした。
そしてその3割のうち1割が、最早パチスロ以外で生活できなくなった私のような人間だったのです。

 

消え去った社会性

さて社会的には何も積み上げていない為、パチスロ生活が長ければ長い程社会的信用はありません。
当然その期間は履歴書でいえば空白期間であり、また面接でパチスロで生活していましたとは言えません。
そして長年パチスロ台だけと付き合い、それによって得る金額に比例してプライドだけが高くなっていた私は、今更就職などできませんでした。

 

お金の計画的な使い方を知らない人間の貯金など、いくらあっても無いようなものです。
500万円以上あった貯金は僅か2年程度で消滅し、パチスロ資金にも困るようになりました。
無くなった原因は主に生活力の無さであり、パチスロ自体は多少ながらも勝ち続けていました。
しかし金銭感覚の狂った私は10年以上続いた生活習慣を変えられず、収入に対して出費が全く抑えられませんでした。

 

これは多くのパチスロ生活者に言えることで、勝てる期間が終わったからといってすぐに次の人生に切り替えられた人はそういません。
下手に成功してしまったが故に、普通に過ごしていても元に戻れないのです。

 

そしてパチスロ事情は急激なユーザーの減少により、4号機時代とは比べ物にならないくらい悪くなっていきました。
勝てる台など滅多に存在しなくなり、その少数の勝てる台も同業との取り合いで楽には掴めないのです。
ついにはパチスロで生活する分すら稼ぐことが困難になり、当たり前のように生活は崩壊しました。

 

プライドの崩壊は自暴自棄へ

パチスロ生活を続けていくうちに、周りの現実からは目を逸らしていきます。
普通は30代中盤にもなれば、結婚して子供が生まれ、仕事にも慣れ始めた男の成長期です。
そんな普通の人に勝てる要素と言えば高額な現金収入だけで、得られるお金だけが唯一のプライドです。
そんなものは稼げなくなれば崩壊するのは一瞬で、後に残ったのは惨めな自分だけでした。

 

さてそうなってもお金は必要なので、どこかから借りなければいけません。
しかし10年のパチスロ生活は身内からも絶縁され、パチスロ優先に生活していた人間がまともな友人関係を維持できている訳もありません。
無職に融資してくれる消費者金融は存在せず、はじめから闇金に手を出しました。

 

この頃はもう完全に心が折れて、もう人生そのものがどうでもよくなっていました。
勝てなければ死ねばいいとすら思っていて、闇金に対する恐怖すらもほぼありませんでした。
勿論勝てるわけもなく、借金だけは物凄いスピードで膨れ上がっていきます。

 

自己破産後に至った末路

さてこの頃は、グレーゾーン金利が撤廃された直後で相談すれば過払い金が大量に戻ってくる時期でした。
小賢しくも自己破産という手段だけは知っていたので、闇金が返せなくなった頃に何の抵抗もなく自己破産手続きをして借金帳消しになりました。

 

消費者金融ですら過払い金が戻ってくるのに、闇金に至っては法律上返済義務がありません。
当然闇金の過激な取り立てには辟易していましたが、元々自殺も考えていたヤケクソの時期です。
利息だけを複数から借金することで払い続け、自己破産で全てリセットされました。

 

正確には実家の住所は闇金に教えていたのですが、絶縁状態であった私には連絡すら取る手段はありません。
私の知っていた旧住所はとっくに引っ越されていて、気づかぬ間にひとりぼっちになっていました。
後日ですが、引っ越した訳ではなく既に他界していた事を知りました。
泣きたい気持ちは当然あるのですが、10年も会っていない両親の顔はあまり鮮明に思い出せませんでした。

 

私に残ったものは、比較的まともに営業していた一部の闇金から戻ってきた過払い金のみ。
この状態で私は、何も考えられないままにパチンコ屋に向かいました。
何もかも消えてしまった私に唯一残ったのは、パチスロが打ちたいという依存的な欲だけだったのです。
もう今更、私にパチスロを否定することはできませんでした。

 

今は何とか安アパートを借り、いつ首になってもおかしくないアルバイトの身分でその日を凌いでいます。
それでも少し余剰金が確保できればパチスロに向かう癖は治らず、貯金など全くできていません。

 

当然ですが、全てのパチスロ生活者の末路がこうなるわけではありません。
しかしパチスロで生活している以上、稼げなくなった時点でその生活は終わりです。
貯金次第で新たな人生をスタートする事もできなくはないですが、知らずに社会性を失っている多くのパチスロ生活者にとって、真面目に働くというスタートラインに立つ事は非常に困難です。

 

リスクとリターンのバランスが現金だけ見れば取れているように感じますが、実は人生のバランスが全く取れていないのがパチスロ生活です。
例え今勝っていたとしても、人生の行き着く先は決していいものではありませんよ。

 

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